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2006年3月 5日 (日)

第4回法教育推進協議会

2月22日、標記会議が法務省大会議室において開催された。霞ヶ関にある法務省に通うのは法教育研究会からすでに4年目となった。その間、多くの法教育に関わる方々と出会うことができた。これは、私個人にとっても、また、司法書士界にとっても大きな財産であると思っている。毎回の会議では多くの報告事項とそれに関する意見交換が限られた時間内で行われる。個々の発言時間には限界がある。当日の会議内容は直前に通告され、大量の資料も会議会場の「指定席」に着いて初めて目にするという状態である。私の事務所のある福島県郡山市から霞ヶ関までは2時間余りあれば到着できるという地の利を生かし、できるだけ余裕を持って出かけ、少しでも事前に資料に目を通すようには心がけている。この協議会には、司法書士界の代表という大きな責務をも背負い出席をしているため、常に日司連初等中等教育推進委員のメンバーの心強いバックアップをいただいている。

さて、第4回の会議内容は次のとおりであった。

1千葉大学教育学部における法教育の取り組みについて①小学校中学校における法教育のあり方を考える②小学校でもできる「裁判員制度」体験プログラムの開発③学校教員への法教育研修の拡大のための検討課題・・・①については、小学校社会科における法資料の教材化への取り組み実践が報告された。具体的には、地域社会で防犯に関わる仕事をしている人たちの役割を知ったうえで、自分たちで安全ルールブックを作ることにより自らの防犯意識を高めるとともに地域の一員として意識を高めることを目的としている。 ②については、千葉大学の大学院生がモデル授業を演じている内容であった。具体的事件を取り扱った模擬裁判の様子が報告された。意見交換では用語の使い方や内容が小学生には難しいのではないかという意見があった。これに対し、小学生が理解できなければ国民に裁判員制度は浸透しないのではないかという視点でのプログラム開発であるという説明があったが、私も大学院生が演じるそれぞれの役割を小学生に置き換えると、せりふを棒読みするだけでとても内容の理解までは無理ではないかと感じたのである。裁判員「制度」を教える教育に偏ってしまうのではないかという危惧を感じるといった意見交換がなされた。素直に「なぜ悪いのだろうか」という点を抜き出せるだけでもいいのでないだろうか。③については、いくつかの問題点の抽出と課題設定が行われた。「法教育に対する教員の多様なイメージにどう対応すべきか」→法教育の具体性を的確に伝達する必要性 「法教育の目的を十分に意識化をしておかないと、教員にとって学んでほしいもの、考えてほしいものを学習内容として取り上げ、子どもの視点での取り組みにかける危険性がある」→教員の意識化促進の必要性 「具体的な教育場面で効果的な教育的関与のために、教員が持つべき必要最低限の法知識や議論整理のための指針が不明確」→教員と法律専門家との連携による具体的教育場面の理解推進 その他、法教育を教科に位置づける必要性、教員養成、現職教員のリカレント教育に位置づける必要性の検討が今後の課題として挙げられた。

2中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程の審議経過報告について これについて、文部科学省の担当官より説明があった。18年度内改訂を目指す学習要領の中で法教育について触れられている。また、「学校外の人材や学習機会を有効に活用し、各教科等の関係部分を相互に関連付けながら理解させることが重要」としている点にも注目したい。

3消費者教育体系化の検討状況について これについては、内閣府国民生活局の担当官より説明があった。日々変化する消費者問題への対応の困難さが増しており、対症療法的な教育には限界があり、あらためて問題点を考える力をはぐくむまさに法教育の視点での教育への取り組みが検討されている。さらにはそれらの教育の担い手として司法書士の実績に基づく期待がなされているとの説明があった。

その他、裁判員制度の教材については、制度広報教育教材にならないように配慮しながら進めていくことが確認された。今後、具体的教材例についてはパブコメ募集の機会も持たれる予定である。

会議中、法教育にとって必要とされるコミュニケーショ能力の育成には「国語力」が欠かせないという議論にもなった。

「教育」は与えられるもの、「学習」は自ら学ぶことを求めるものという違いがあるのではないか。法教育も裁判員制度の理解のために教育されるものになったのでは本来的意義は喪失してしまう。幼児期から発達段階に応じて学習する機会を得、その中で法教育の視点が無理なく身につくことによって裁判員制度を支える力のある国民の層ができていくのではないか。時間はかかる。かけなければならない。それが「学ぶ」ということではないだろうか。

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