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2006年3月12日 (日)

日司連市民公開シンポジウム

3月10日(土)14時より3時間、四谷の司法書士会館で標記シンポジウムが開催された。テーマは「気軽に相談できるって、ホント!?~法テラスと司法書士の役割~」 中村日司連会長、金平輝子法テラス理事長予定者の挨拶の後、法テラスと司法書士総合相談センターの紹介ビデオが上映された。

その後は、久保潔日司連外部理事をコーディネーターにパネルディスカッションが行われた。パネリストには法務省の大場参事官、法律扶助協会の藤井専務理事、日弁連司法支援センター推進委員の亀井弁護士、全国消費生活相談員協会の下谷内理事長、早稲田大学の和田仁孝教授、愛知会の社会事業部担当副会長の和田司法書士の6人が登壇した。

 昨年、一昨年は「法教育」をテーマにしたシンポジウムで、私も報告者、パネラーとして登壇していたが、今年は聴講者としての参加をさせていただいた。

さて、パネルディスカッションでの各パネラーの発言の中から、興味があった点をいくつか紹介する。 【和田司法書士】かつては制度広報として相談事業が位置づけられていたが、司法書士法の改正により法律相談権が法定され、利用者の法的手続きの支援、法的サービスの提供としての相談事業が行われている。(質的発展)司法書士会が行う法律相談の体系化、一元化を行うことにより、利用者への質の高いサービスの提供ができるようにしていきたい。相談センターからの会員紹介システムが構築されている。 【大場参事官】総合支援法の内容、司法支援センター(法テラス)の制度説明。法テラスでは、情報提供は無料で行う。法律扶助制度を利用しての無料相談、司法過疎地における地方事務所での有料相談の相談事業を行う。 【藤井専務理事】法律扶助について、平成17年度は45億円の国の補助金交付を受けているが、法テラスに事業主体が移行してからは国が扶助事業を行うことになる。(法律扶助事業の質的変換)その中での司法書士の責務として、扶助事件受任・受託者としての役割、司法過疎地における活動、扶助業務への参画(運営、審査等)などを指摘した。 【亀井弁護士】48年の歴史のある法律扶助事業に平成12年から司法書士が「お客さん」として参画してきたが、今後は主体的に関わる必要がある。法律扶助事業に対しては弁護士会が作り、育てたという愛着があるために地域によっては、法テラス事業への司法書士の参画への反発も少なくないと感じる。今後は法テラス運営については弁護士と司法書士が協力していかなければならない。東京地方事務所では司法書士が副所長を担う予定。 【下谷内】司法書士に相談後、消費生活センターへ再度相談を持ち込むケースで、相談を受けた後のことまでを考慮しないものが見受けられる。司法書士は市民に身近な立場にいるのであるから、相談の中での十分な聞き取りをし、その後の具体的な解決までの道筋をつけることも必要なのではないか。 【和田教授】司法は敷居が高いというイメージが強いが、なぜ、敷居が高いのか、その具体的なイメージが不明である。これまで、その敷居にさえ到達できなかった市民がいたのである。情報提供業務の中での振り分けが行われていくが、相談内容の多面性に対応するためには振り分けをしたあとの相談の大切さを感じている。システムを動かすのは「人」であり、そのコアとして法テラスに期待をしたい。

また、「連携」をキーワードにパネラーが意見交換を行った。いくつか発言を拾ってみる。 【和田教授】紛争の多重化傾向を考えると、心理的な不安を誰かがコアとして対応しなければならない。その専門家が最後まで他の専門家との連携を組みながらトータルケアを行うことが必要。たらいまわしの防止。相談者との共感の共有が心理的不安を解消していく。 【下谷地理事長】情報提供者の聞き取り能力の養成が必要なのではないか。 【大場参事官】振り分け先のネットワーク化が必要。法テラスは「迷子」になっている市民を救う機関であり、既存の相談機関はこれまでどおり機能してほしい。法テラスは既存の相談機関を補完する役割を担うのであり、取って代わるものではない。 

そして、和田教授が、大都市では弁護士、司法書士が数的には飽和状態であると言われているが、市民の側の視点で考えると、十分なリーガルサービスを受けることができる体制が構築されているとは思えない。つまりは専門家へのアクセスが十分にできない、社会的過疎が生じている。紛争の問題点がどこにあるのか、市民の創造的コミュニケーション能力が備わっていないのではないかと指摘。また、藤井専務理事や下谷地理事長からは、司法過疎地は狙われている。悪徳業者にとっては、過疎地は聖域・・・誰も援助をせず、かつ、専門家にもたどり着けないから。そして、被害を受けていることにすら気がつかないことを指摘。・・・これらの話を聞いていて、「法教育」の必要性を強く感じたのである。市民が司法に、専門家にアクセスできる「力」、そして専門家とコミュニケーションをとることができる「力」を育むこと、そのためには法教育が必要なのである。 最後に大場参事官が「法教育」の必要性を語ってくれた。

法テラスは、法教育の情報提供の「核」としても機能すべきである。

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コメント

お疲れさまです。実に詳細な興味深いレポートありがとうございます。
参加したかった・・・・そして発言したかった・・・・
でもさすがに無理だった・・・・残念です。
このシンポに関する資料などは入手可能でしょうか?

投稿: 小澤吉徳 | 2006年3月15日 (水) 18時57分

全青司全国大会と日程が重なり、参加ができなかった同士も多いかと思います。当日は特に真新しい資料はありませんでした。いずれ、速記録が日司連HPにUPされることと思います。

投稿: 高橋文郎 | 2006年3月16日 (木) 05時35分

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